Tsunamiの爪跡 | 世界つれづれなるままに

Tsunamiの爪跡

久々のダイビングでカメラのハウジングが機能不全に陥るというアクシデントにもめげず、その日の午後は漁民の島と呼ばれるローカルアイラインドへのエクスカーションに出かける。 ボリフシのスタッフがスピードボートで連れて行ってくれたその島は、スタッフの生まれ故郷らしく、行き交う人はみな知り合いばかりのようだった。 皆、気さくで明るい良い雰囲気の人々であったが、スタッフに連れていかれた土産の主人は、

「買うまで店の外には出しませんぜ~、だんな」

という商売気むんむんで迫ってきた。 おいらと嫁は店をひとしきり、見回った後で、「ちょっと散歩してくる」といって強行脱出。土産屋の腕を振り解いて、島をとぼとぼと歩いて回った。

ほどなくして島の海岸を見た。ボリフシと同様に、そこには美しいインド洋の海が広がっていたが、海岸にはTsunamiによって流れた多くの家の残骸、陸に乗り上げたまま放置されたままの船が無残な形で横たわっていた。

「‥‥‥」

おいらは嫁に「僕らがやってあげられることは土産を買ってあげることくらいしかできないな」と言って、結局、海辺の油絵を2枚とフォトフレームを購入した。

道すがら、声をかけてきた子供はおいらの持っていたデジカメを見て、撮ってほしいとせがんできた。気軽に応じて撮ってあげると、その写真がほしいという。
「デジカメだから、この場ではあげられないんだよ」と説明したが、どうしても欲しいといって聞かない。考えたあげく、住所を聞いて後から航空便で送ってあげようと提案。しかし、子供たちに住所を聞くと、

「あそこ、あそこ」

と指差すばかり。「そうか、わかったよ」とうなずいてその場を立ち去った。いつかリゾートのスタッフがまた故郷の島にいくだろうから、渡してもらおう。

日本人は災害が起こった島へはすぐには行かない人も多い。しかし、地元民の話では世界中から送られているはずの義援金が島を復興させている様子はないと語る。政府の支援がまわってくるまで、今日の生活をどうするかが、島の人たちの深刻な悩みだ。

Tsunamiによる死者は世界で20万人。モルディブでも首都マーレは3分の2以上が海水につかり、多数の死者が出ている。 日本人は観光して、しっかりお金を落としていこう。それが一番の復興策だと思う今日このごろだ。